2006/04/05

生きる




今は まだ 風に冷たさの残る 春。

サクラが咲いても 花冷えのする季節。


その冷たさの中

真夏に花を咲かせる植物たちが

次々と 顔を覗かせて来る。
 


自分の出番でない時節は 

すっかり地上の姿は消してしまって

どこにいるのか 生きているのかどうかすら 

わからないような姿でいても


活躍の季節が来たことを察知すると 

みるみる芽を出し 葉を茂らせ

あっという間に 見事な花を咲かせる。




たとえ 短い間でも

見事な生命力を 見せ付けるようにして

自分の季節を駆け抜ける。



そのときの躍動感は 

どんなに激しく動くことのできる動物にも

勝るとも劣らない。



鮮明な色

かぐわしい香り

つやつやした輝き ふかふかした手触り

サワサワ ザワザワ という 葉の揺れて 騒ぐ音

鳥や虫たちを そして ヒトを 魅了する果実・・・。



なんという鮮烈な印象であろうか。

自分の命を 精一杯に輝かせる。



この世で得た命を ただ ひたすら生きる。



唯一無二の存在であることを

誰に聞かずとも 知っている。



誰に説くわけでもなく 力の限り

自分で在ることを喜び

凛々しく たくましく 美しく 



生きる。



そして 次の世代へと 命の襷をわたす。



潔く 枯れ際までも 誇り高く

凛として 生きる。




生きるとは こういうこと。